ギャラリーカフェふく かど店で開催中の
竹谷チカコ 個展「T氏の標本と空想録」より
竹谷さんとの出会い
竹谷チカコさんとギャラリーカフェふくの出会いは昨年の冬だったような。
募集していたアーティストインレジデンスに応募してもらったことがきっかけでした。その企画は最終的にコロナで中止になってしまいましたが、
初対面でお会いした時の竹谷さんの佇まいや、森の中にいる鹿のような黒目が印象的で。ふと思い立って、展示をお願いすることになりました。
短い時間の中での打ち合わせでしたが、竹谷さんから展示の内容や展示方法のイメージ、そしてタイトルが提案されあっというまに10月のギャラリーが始まりました。
T氏の標本と空想録
ギャラリーには12点の絵が展示されています。
タイトル「T氏の標本と空想録」に合わせて、
普通の額装ではなく1点ずつ標本のように虫ピンでとめてあります。
ほとんどのモチーフが数センチの実物大で描かれていて
T氏がつけたと思われる標本のタイトルが
「太古のおかき」
「書き物をする妖精の少し硬いまくら」など。
この先にある物語を予感させます。
この先の物語は書かれているんですか?とお聞きすると、
ちょっといたずらっぽく
「見る人のなかで空想していただきたいです」
そう微笑む竹谷さんでした。
絵を描き始めたこと
竹谷チカコさんは京都で生まれ育ち、
大学と大学院で芸術や表現を専攻されました。人物を油絵で描くかたわら、その辺から引っこ抜いてきた草などを描いていたそうです。
絵を描き始めたきっかけは、子どもの頃から。
「住んでいた場所が若桜や八頭のような山間部で、家と家の間が遠くって。学校帰りに友達と遊ぶ約束をするハードルが高かったんです。すぐ暗くなるし(山間部あるある)ひとりで遊べることというので、自然と絵を描く時間が長かったですね」
意外にも、子どもの頃はインディージョーンズや、ジュラシックパークに出てくる考古学者に憧れていて、その道に進みたかったそうです。
竹谷さんの作品は、静謐さと温かさの両方を感じるタッチで描かれていますが、
「標本」や対象物へのまなざしを見ていると、なるほど考古学者へのロマンを感じます。
そしてタイトルにある「T氏」という人物がそこへ重なってきますね。
これからのこと
鳥取には縁あって3年前から暮らし始めたという竹谷さん。
ギャラリーでの企画展などへも参加する予定もあるそうです。
これからは、どんな絵を描かれますか?と聞いてみました。
「空想のものを、あたかもあるように。そして、くすっとする世界観を」
私は竹谷さんの絵を見ながら、ちょっと小鳥になった気分でした。
なぜって、小鳥ならつい、ついばみたくなるような絵たちです。
10月の特別なケーキセット
そんなことで、人間がついばめるケーキセット
「T氏の甘いもの採集」というケーキセットを10月限定でご用意しました。
竹谷チカコさんの特別なポストカード付きです。
これから山々が秋色へと変わっていく若桜町へ、
ドライブもそしてもちろん若桜鉄道もおすすめです。
ぜひ、足を向けてみてください。
文 ひやまちさと