お店のカフェは、ギャラリーを見に来られたお客様が、ついでにちょっとした食べ物があったり、お茶ができたらいいな。そんな風に考えてメニューを作っています。
6月から始まっている「季節のスープと鹿肉のケークサレセット」は、ちょっとした軽食、でもトーストよりランチに近いもの、というイメージでshizuka gohanさんと一緒に考えました。スープは、季節の野菜を見て紫都香さんが決めています。この間、ちょっと印象的なことがありました。
以前、別のところで彼女のスープを飲んだとき
「あれ?若桜で作ってくれたスープと違う気がする。何か変えた?」と
思わず言ってしまったことがあります。彼女は、材料は一緒だよ、と教えてくれました。
それからしばらくして、7月のスープの仕込みに来ていた彼女が
「あっ」と台所で声を出したので「どうかしたの?」と聞くと、
手のひらにふたカケラの人参。
「味が、全然違う」
まだ何の調理もしていない、生の人参。実は産地が違いました。
ひとつは近い土地で育ったもの、ひとつは流通に乗って遠くから来たもの。
ポリ、ポリ。
つちくさい、人参特有の苦味と甘み。
かたや、何かが抜けたような、蛍光灯のような味。
紫都香さんと出会って、素材の違いについて気がつくことが増えました。
どれも大切な食料に変わりはないのですが。
できるだけ近い土地のもの。できるだけ自然の生命力のあるもの。
そんな風に素材を選べるようになりました。
スープは、お家でも簡単に作れます。
野菜も旬のものなので、特別感は少ないかもしれません。
ギャラリーカフェふくは、目に見えないことを、
今すぐじゃない10年後のことを大切に思える場所になりたいと思っています。
(鹿肉のケークサレ、すっごい美味しい)
今週は、特別な仕掛けはありません。
でも企画展「山とお茶」はぜひ、多くの方にご覧いただきたいなあ。
お待ちしております。